５月アメリカ生活記録
5月1日火曜日明日からｉちゃん（日本からのアテンダント）は私の介助者ではなくなり、彼女はニューヨークへ旅行する。Sunriseのスタッフはきちんと私の介助をしてくれるのだろうか。最後まで私の話を聞いてくれるのだろうか。
もともと、ｉちゃんに1ヶ月も一緒に滞在してもらった理由の1つに、スタッフに1ヶ月の間に介助方法を覚えてもらうという目的があった。けれども、私たちの意図は通じていなかったようで、介助方法を一度見たぐらいで、積極的に覚えようという姿勢は、彼女たちには残念ながらなかった。
ｉちゃんがいなくなってしまえば、もう彼女たちも知らない顔で居るわけにはいかない。私ももう他に介助をお願いする人はいない。なんとしてでも彼女たちに介助をしてもらわなければならなくなる。
少しでも分かりやすいように、介助方法を記した写真入の表を、ｉちゃんが作ってくれた。問題は言葉の壁。他の国から来ているスタッフもいるので、私も相手も片言英語である場合も多く、上手くコミュニケーションができないこともある。
今日は洗濯にチャレンジ。洗濯機まで衣類を持って行き、通り掛かりのスタッフにスイッチを入れてもらう。取り出すときも手伝ってもらい、部屋でハンガーにかけて干す。私の手が届くドアノブやタオルをかけるところなどはすべて洗濯物で埋まってしまった。いつもならやってもらうことも、時間がある今だからこそ、楽しんでやっている。時間を惜しんで人にやってもらうか、時間をかけてでも自分でやるか、それも自己決定のひとつだと思う。
5月3日木曜日今日はシャワーに入る日。ｉちゃんが居ないのに、ここのスタッフはちゃんと洗ってくれるのだろうか。第一、彼女たちが介助の度にはめているゴム手袋が私は嫌いだ。病院に居た頃、看護婦がはめていたものよりごわごわしていて、私の髪に絡みつく。せめて髪を洗うときぐらいはずしてほしいなあ。
5月4日金曜日昨日、授業料を納めたので、あとは授業の始まる23日を待つのみ。語学力がかなり不安。1ヶ月以上たつのに、英語が理解できるようになった気がしない。
今日も洗濯にチャレンジ。今は急いでやっておかなければならないことが特にないので、自分で干せることが楽しい。
この週末は特にすることがないので（もちろん、勉強はしないといけないけど）、Sunrise近辺をクリアすることを試みようと思う。この日は「University Mall」というものを見つけた。残念ながら時間がなかったので、遠目にしか見ることができなかったが、どんな物が売られているのかとても気になる。早く行ってみたい。（のちに、このモールにGiantというコンビニがあることを知り、私のお得意先となる）
5月6日日曜日「University Mall」目掛けて再チャレンジ。今度は大学の地図を見ながら、近道を使って行ってみることにした。けれど、道を間違えたようで、いけどもいけども殺風景な道路と山が続く。風が冷たく、手に力が入らなくなって電動車椅子の操作も上手く行かなくなって、目的のモールに辿り着けないまま、引き返すことにした。
歩道の脇を遠慮なく走りすぎて行く車たちと、人が一人も歩いていない歩道を見ていると、無性に悲しく、寂しくなってきて泣きそうになった。すると、ある車から見知らぬ婦人が声を掛けてきてくれた。「何かお手伝いしましょうか？」、「私はこの近くに住んでいるのよ」、そんなことを行っていた気がする。英語が早くて聴き取れなかったけど、わざわざ車を止めて声を掛けてきてくれたことがとても嬉しかった。
今日は夕食でJohnと同じテーブルになった。彼は以前、３週間ほど日本に滞在したことがあるらしい。ずっと前のことなのに日本語まで覚えていた。すごい。
5月8日火曜日今日はSunriseの他の入居者たちと一緒にWal-Martに出掛けた。そこは車で１５分ほどの所にあるとても大きなスーパーマーケット。何でも手に入るが団体行動なのであまりゆっくり買物ができなかった。今月末には「ディナーシアター」というプログラムがある。せっかくだから時間に余裕があるときはSunriseのプログラムにできるだけ参加してみようかな。
5月9日水曜日今日は、これまでずっと付き添ってくれたｉちゃんとの最後の夜。Dinnerを取寄せてお腹いっぱいライスとシーフードを食べた。美味しかったけど、なんとなく寂しかった。気心知れた友人が近くにいると思うだけで、どんなに心強く思えるか…。
だけど、明日からは一人。泣いても笑っても一人。なぜか、あんまり不安でもない。Sunriseにいる限り、生きてはいけるから。大丈夫、やっていけそうな気がする。
今日、ニューヨークのクリスティーンからビデオと資料が送られてきた。Assistive Technology入門らしい。私がニューヨークへ行く前に、英語の勉強も兼ねて送ってもらったビデオとそれに関する資料だ。通信教育らしく、資料は問題形式になっていて、なんだが面白そう。生活にもだいぶ慣れてきたし、しっかり研修をしなきゃね。
5月11日金曜日昼過ぎにトイレをする為に、大学からSunriseへ向かう途中、シーホン（韓国留学生）に会った。彼は、トイレをする為にわざわざ帰ることが理解できない様子だった。私にすれば、たった片道10分の距離。ベッドのない大学のトイレで、介助に慣れてないアメリカ人相手に片言の英語で説明しながら介助をしてもらうよりも、安心できる場所で大体の介助方法を知っている人に手伝ってもらう方が楽なのだが。
5月12日土曜日・5月13日日曜日土曜日。ワシントンDCへ出掛けた。ｉちゃんがニューヨークで出会ったというYさんがこちらに来ているからだ。一人でバスに乗り地下鉄を利用した。日本にある私の町で同じことをしようと思ったら、一体どうなるのだろうか。
日曜日。先週、遠目で発見したUniversity Mallへ今日こそは行ってみようと、再チャレンジ。迷わずすぐに辿り着けた。少々ショッピングを楽しんだ後、Sunriseへ帰宅。今週末は「母の日」の為、スタッフの人手がいつも以上に少ない。どうやら今日もシャワーを浴びれそうにない。
妹からのメールで、家で買っていた犬が事故で死んだことを知らされた。ショックで悲しくて泣いたけど、いろんな人が励ましてくれた。フィリスは、「小さなティーパーティだ」と言って紅茶を入れてくれた。明るく接して励ましてくれたことが、すごく嬉しかった。
5月15日火曜日午前中、CVSといういわゆるコンビニへSunriseの入居者数人と一緒に出掛けた。果物ナイフと洗濯ネットを探したが見つからなかった。午後、大学でメールチェック。偶然にも同じ大学から、しかも同時期に同じジョージ・メイソン大学へやってきたS先生に電話コンタクトを取る。先生も日本語が恋しかったようで、私も久しぶりの日本語での会話で楽しかった。
5月16日水曜日S先生と会って、一緒に昼食をとった。先生は、「すべての人たちの町づくり」に関わっていきたいと熱く語ってくれた。弱者にとっても暮らしやすい町は、すべての人にとっても優しい町であるはずだとも言っていた。
私が「時間があれば、もっと地元の障害のある人達にも会ってみたい」と伝えたら、「そのときは是非、私にも声をかけてください｣と言ってくださった。嬉しい。
今日はシャワーを浴びる日。だが、「月曜も火曜も浴びたのに、今日も入浴するのか！？｣と言われた。「月曜日は日曜日に入れて貰えなかったから関係ない。私は火、木、日曜日が入浴日だから今日入るのだ。」と主張してみた。でないと、彼女たちはいつまでたっても風呂に入れてくれそうもないからだ。しばらくの口論の後、なんとかシャワーを浴びることができた。ヤッター！！勝利ッ！！
5月18日金曜日トニーに会った。彼も車椅子を使っている。彼に自動車のナンバープレートに記されている障害者マークの意味について聞いてみた。すると彼は他のカードを見せ、「これを持っていると、障害者用の駐車場に車を停めることができるんだよ。ナンバープレートも同じさ」と語ってくれた。そのカードには車のナンバーは書かれていなかった。だから、車を代えても、例えば友達の車で外出しても、そのカードさえ持っていれば駐車しても良いらしい。
5月19日土曜日・5月20日日曜日土曜日。朝、雨が降っていたが、昼からGIANTというコンビニみたいな店（University Mallにある）へ出掛けた。そこでカードを買い、月曜日にティーパーティを開いてくれたフィリスに感謝のカードを渡した。とても喜んでくれたみたい。
日曜日。一日中雨で、体もなんとなくだるかったので、風邪薬を飲んだ。シーホンが夕食前に訪ねて来てくれて、電話をセットしてくれた。まだ回線は通じていないけど、来週には接続できるはず。
今日は８月から研修することになっているニューヨークNCDSのクリスティーンとビデオカンファレンスをした。カンファレンスといってもテレビ電話みたいに画面を見ながらこれからのことを話しただけで、議論は何もしていない。（議論できるほどの英語力もないし…） 話の内容は、�，い弔�らニューヨークへ来るのか？８月のいつか？、�▲咼妊�は見たか？、�１儻譴領�習の為にも、日本の障害者のことを話して。他の人のアドレスを送るから。
5月22日火曜日昨日から部屋に電話がある。各部屋に電話ジャックがあるのを、ベッドに隠れていて気付かなかったのだ。調べてみる（シーホンが調べてくれた）と、私の前の入居者が電話を使用していたらしく、工事の必要もないらしい。ラッキー☆
5月23日水曜日今日は初めての授業があった。残念ながら、思っていたとおり、先生の言うことの大半は聴き取れなかった。どんな話題に付いて話しているのかが分かる程度。幸いにも、今日の授業で見たビデオは、ダスキン愛の輪基金が「もらった物ですが、見ますか？」と不安げに私たちに渡してくれたビデオで、日本で何度も見ていたから、内容は知っていた。聴き取れなくてもなんとか今回はついていけたので助かった。。
5月24日木曜日クリスティーンが送ってくれたビデオをもう一度見た。彼女からの宿題はまだ完成していないからだ。部屋からインターネットがなかなかできず、Sunriseのビデオは壊れている。土、日曜日に図書館へ通って、宿題に取りかからないとヤバイかも。
5月25日金曜日ゆっくりとインターネット（メール）をしたかったのに、天気が悪い。昼過ぎに、隣りのデスクのKeyが「雨が降っているから迎えに来てもらいなさい」とアドバイスしてくれた。でも、Sunriseの電話はいつも留守番電話。来てくれるはずもない。仕方がないから、風もないことだし、傘をさすことにチャレンジしてみようと思ったら、急に晴れてきた。「ヤッター！私ってやっぱり晴れ女だ」と、青空を見ながらニヤニヤしてたら、帰宅途中で急に振り出してきた。びしょ濡れ！最悪！！
5月26日土曜日・5月27日日曜日この土日は、授業の課題であるビデオを図書館で見ようと思ったのに、土曜日は一日中雨。日曜日は晴れていたので、昼からGIANTへ行ってカメラを現像に出し、図書館による予定だった。ところが、店を出てからどうも雲行きが怪しいので、まっすぐSunriseへ戻ったら、またしてもあと５分というところで雨に振られてしまった。夕立みたいな土砂降りの雨。しかも皮肉なことに、短時間のうちで止んだのだ。図書館で一時間ほどビデオを見ていた方が良かったかもしれない。
5月28日月曜日今日はメモリアルデーと言って、戦争で命を落とした人へ追悼する記念日で、大学も図書館も休みだった。フィリスに「日本にも同じような記念日はあるの？」と尋ねられた。そういえば終戦記念日は休日でないことを思い出した。なぜなのだろう。
5月29日火曜日午前中、他の入居者と一緒にFair Oaks Mallへ出掛けた。日本人とかが好みそうなショッピングモールで、ブランドものからちょっとしたメーカーものまで売っていた。一日中そこにいたい気分だった。
帰りに、隣りの部屋に住むDorisに「ピアスはいくつ持っているの？」と聞いたら、100個と答えてくれた。彼女は声を出して話をすることができないが、その分、私のたどたどしい英語を注意深く聞いてくれる気がする。
サンライズに帰った後、めずらしく彼女が私の部屋を訪ねてきてくれ、彼女のピアス箱を見せてくれた。
今日は頭が痛い。風かもしれない。
大学でPCモデムカードを購入。これでやっと部屋でインターネットができるはずだ。
授業の宿題のビデオを見た。あとは感想文を書かないと。
PCモデムカードのドライバが上手くインストールできなかったので、韓国留学生のシーホンに見てもらったら、フロッピーに保存されていたドライバを解凍しなければならなかったらしい。そんな当たり前のこと、なぜ気付かなかったのだろう。問題が解決した後、昨日見たビデオの感想をメールで先生に送った。すでに次の宿題が出されていた。
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